3度目の殺人

 拘置所で三隅(役所公司)は弁護士の重森(福山雅治)に間違いなく自分が殺しましたと淡々と答える。三隅は解雇された食品加工工場の社長を殺し財布をうばって火をつけた罪で裁判中である。30年前にも前科があるため死刑は確実と思われた。重森の同僚の摂津(吉田鋼太郎)は三隅が供述をころころ変えるのに音を上げ、弁護を重森にも頼んだ。重森は裁判では被告が有利になるのなら真実には目をつぶるタイプであった。
 三隅は重森に何の相談もなく、面会に来た雑誌記者に実は奥さんから頼まれて殺したと告白していた。証拠は奥さんからのメールと奥さんから振り込まれた50万円のお金であると言う。これは嘘だとあとでわかるのだが、食品偽装のことを三隅に知られそれが公になると会社が危ないため奥さんの美津江(斉藤由貴)が口止め料としてお金で解決しようとしたことが分かる。美津江との関係の裏をとるため三隅のアパートを奥さんがたずねていたか調べているときに、足の不自由な女の子が三隅のアパートを訪ねてきていたことがわかる。それは殺された会社社長の娘咲江(広瀬すず)であった。咲江には秘密があったのである。
 三隅が犯した第一の殺人の裁判長をつとめていたのが重森の父親(橋爪功)で三隅は獣みたいな人間だと断定する。第1回公判が始まり弁護側は被害者の妻美津江(斉藤由貴)が夫の殺人を持ちかけたという弁護側の主張は妻によって否定された。このことが裁判で争われることになる。公判後重森のところに思わぬ客人である被害者の娘咲江が現れる。咲江は父親に性的虐待を受けており、父親のように慕っていた三隅に打ち明けていた。そしてそのことを次の公判で明らかにするという咲江の申し出を聞いた三隅はそんな話嘘ですよと言い切る。そして公判で本当は私は社長を殺していないと答える。これだけの証拠が挙がっているのに犯行を否定するのは逆に厳しい判決をうけることになるしかなかった。そして咲江の証人発言は必要なくなり、結局厳しい判決を受けることになる。
 三隅は今回は咲江を守るという正義感も一部あったのだろう。父親を殺すという残虐性を持ちながらも娘を救い独善的だが何か良いことをしたかったのかもしれない。