たたら侍

 出雲の山奥にたたら吹き技術で1000年錆びないという鋼をつくる村があった。その技術指導者で村下になるところの弥助(甲本雅祐)の子でたたら技術を一子相伝するはずの伍介(青柳翔)がいた。この村の鋼をねらって山賊が暗躍するため伍介はいつも強くなりたいと願っていた。戦国時代、鉄砲の増産をねらって大名の意向を担って商人たちが暗躍し惣兵衛(笹野高史)もこの村にやってきて鋼を売るよう説得する。もちろん村は商人の思惑を断る。そのころ村長の息子の平次郎(豊原巧補)は山賊に殺される。伍介は我慢の限界に達し、村の掟を破って商人に頼んで戦場で武士になって活躍する夢をもち惣兵衛に頼んで村を出る。伍介の許嫁お國(石井杏奈)はいつでも待っていると伍介を送りだす。惣兵衛の知り合いの大商人与平(津川雅彦)により織田方蜂須賀軍に仕えた伍介は戦場の現実になすすべもなく現実の厳しさを知るのであった。村にもどるしかなかった伍介は許しを得る。しばらくして与平が訪れてきて村を守るには鉄砲を造って闘うしかないと説得し、伍介たち若者は鉄砲づくりにはげむ。幼馴染で村長の息子の新平は反対したが伍介たちは与平にそそのかされ与平が連れてきた傭兵佐吉(菅田俊)たちにいつのまにか村の主導権を奪われてしまう。新平は以前から村を見守ってくれていた織田軍配下尼子再興軍の長尼子真之助(AKIRA)側につき伍介たちを説得に来て佐吉達に殺される。伍介達は与平の言うことに疑問を感じ始めたが主導権は取り戻せなかった。尼子真之助は武士の意地をみせ与平と傭兵たちから村を取り戻すべく戦う。真之助と佐吉は激しい闘いのうち共倒れする。伍介はただ見ているだけだったが以前この村の鋼で刀匠宗義(中村嘉葎雄)に造って貰った折れない刀で与平を殺しはしなかったが与平の刀をへし折る。
 最後に父弥助のたたら吹きによる鋼づくりの信念が自分のもとめていたものすなわちたたら侍という生き方であることに気付く。