スノーデン

 2013年6月香港の街に青白い、メガネをかけルービックを手にした青年がドキュメンタリー作家ローラ・ポイトラス(メリッサ・レオ)、イギリスガーディアン紙コラムニスト、グレン・グリーンウォルド(ザカリー・クイント)と合言葉をかわし自分の宿泊ホテルの部屋に招き入れ、ポイトラスが回すカメラの前で自分はエドワード・スノーデンと名乗り、働いてきたCIAとNSA(米国家安全保障局)でのキャリアに加えてアメリカ諜報活動のトップ・シークレットを語り始める。
 2004年スノーデンは9.11の同時多発テロに危機感を抱き国家の役に立ちたいと軍に入隊した。ある日不注意で足に大怪我をしたスノーデンは担当医から「他の方法で国に尽くせ」と除隊を進められた。彼が選んだのは自らの優秀な頭脳を活かせるCIAであった。そのCIAで彼の資質を見抜いたのは指導教官コービン・オブライアン(リス・エヴァンス)だった。
 2006年CIAは次のテロとの戦いの主戦場はサイバー空間にあると考え、そのためのスペシャリストを必要としていて、スノーデンはCIA訓練センターでサイバー・セキュリティのノウハウを学び類稀なる知識でコービンに一目置かれる。また個性的教官ハンク・レスター(ニコラス・ケイジ)とも親しくなり、ハンクの処遇から国家の管理体制を垣間見る。
 プライベートでは交流サイトで知り合ったリンゼイ・ミルズ(シャイリーン・ウッドリー)は愛国者のスノーデンと違ってリベラルな考えの持ち主であったが、不思議とウマが合い交際し始める。
 2007年ジュネーヴにあるアメリカ国連代表部のCIAネット・セキュリティの維持をたくされたスノーデンだったが、目の当たりにしたのは非公開の一般市民メール、チャット、SNSなどから情報を収集し、PCでの盗撮までできる極秘検索システム・エックスキースコアの存在と無関係の人物まで巻き込むCIAの汚い手口だった。スノーデンはリンゼイとの私生活まで盗撮されているのではと恐れ始め結局CIAを辞職しリンゼイにうち明けた。丁度この年当選したバラク・オバマ大統領は「情報を隠すことなく公開する政治だ」と公約した。
 2009年民間企業のスタッフとして働いていたスノーデンは皮肉にも再びNSAでの仕事を言い渡される。政権が民主党に変わったこともあり、心機一転派遣先の東京に赴き非常用データ・バックアップシステム、エピックシェルターの構築に携わった。しかしNSAによる監視は同盟国政府、民間企業、世界中の市民、各国の通信システムさらに物的インフラまで及びもはやテロ防止の目的を逸脱していた。極度のストレスをため込んだスノーデンはリンゼイとけんか別れしてしまう。3ヵ月後メリーランド州のリンゼイの実家を訪れリンゼイと仲直りした。彼女との人生に幸せがあると気付いたが元上官オブライアンとNSA副長官からハワイでの新しい任務を持ちかけられる。
 2012年リゼイを伴ってハワイに赴任したスノーデンはかなり上のアクセス権を与えられ中国によるサイバー活動の監視任務に就いた。自分がかって構築したエピックシェルターがドローンによる攻撃など想定外の目的に使われており、さらに監視プログラムも拡大の一途をたどり私生活まで筒抜けになっていた。このためスノーデンは祖国を告発する重大決心を一人でするのであった。
 その発表の結果アメリカ政府の対応が変わったがスノーデンは犯罪者となり、現在ロシアにかくまわれている。このように現在われわれは情報が筒抜けになる世界で生きている。