シン・ゴジラ

 東京湾羽田沖でプレジャー・ボートが漂流しているのが見つかる。しかし船長は行方不明だった。その時大量の水蒸気が発生し始め、アクアトンネルでは突然の浸水に巻き込まれる。一報を受け取った矢口蘭堂内閣官房副長官(長谷川博己)、志村佑介内閣官房副長官秘書官(高良健吾)らは危機管理センターで情報収集に奔走する。官邸では大河内清次総理大臣(大杉漣)、東内閣官房長官(柄本明)、赤坂秀樹総理補佐官(竹之内豊)ら閣僚が対策を協議する。閣僚の多くは海底火山、熱水噴出に傾くなか、矢口だけは巨大生物の可能性を提案したが、一笑にふされた。しかし海面から巨大な尾が現れ、川を遡上していく。尾賀ヒロミ環境省自然環境局野生生物課長補佐が巨大生物には足があるかも知れず上陸の可能性もあると訴えたが受容されなかった。総理が緊急記者会見で上陸はないと訴えたころ、反対に巨大生物は蒲田に上陸し、人々がパニックに陥り、官邸は対策に翻弄され緊急対策本部が設置される。
 小塚東京都知事は自衛隊の治安出動を要請する。危機管理センターでは矢口、赤坂、東たちは総理に災害緊急事態の宣言と自衛隊初の防衛出動を迫り、大河内総理は苦渋の決断をする。財前統合幕僚長(国村隼)が回転翼機による駆除作戦を進言する。巨大生物は品川湊に達していたが、不思議なことにはたと停止し、前脚が割れ、腕が形成され、進化するかのように巨大陸上型の第3形態へと変態した。京急本線北品川駅が尻尾で破壊され、住民が避難完了との報を受けた花森防衛大臣(余貴美子)が射撃命令を大河内総理に促したとき逃げ遅れた住民が確認され大河内が攻撃を中止した。同じころ巨大不明生物は背中が赤く発光し咆哮したのち東京湾へと去っていった。
 巨大不明生物特設災害対策本部が設置され矢口が事務局長を兼務する。エネルギー源が何なのか?都内放射線量に軽微な上昇があり核分裂がエネルギー源の可能性も出てきた。米国大統領次席補佐官が秘密裏に来日。大統領特使のカヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)が矢口に接触。巨大不明生物の存在を予言し、7日前に成田に降り立った牧五郎を探してほしいとのことだった。牧は元城南大学生物学教授で日本から追放される形で米国でエネルギー関連研究機関に帰属した老人であった。あの羽田沖のプレジャーボートの所有者でもあった。矢口はカヨコにそのボートにあった封筒を渡す。表には私は好きにした。君らも好きにしろ。呉爾羅と書かれていた。カヨコのファイルにもGodzillaとあった。米国エネルギー省におけるコードネームであり、牧の故郷では神の化身という意味だった。牧の意見では60年前各国が大量の放射性廃棄物を海底に捨てそれを食料として進化を遂げたのがこの巨大不明生物であり、ゴジラと名付けられた。米国エネルギー省は牧の資料に加えてみずから調査・分析していたのである。大河内はゴジラが微量の放射能を持っていると発表する。間準教授(塚本晋也)はゴジラが血液を冷却装置として使っている可能性が高いとして、血液凝固促進剤の投与がゴジラ退治に有効ではないかと提案する。
 ゴジラが再び東京23区をめざして入ってきた時、国・自衛隊は最大戦闘能力で闘ったがくい止められなかった。さらに一国の政府閣僚達が東京から他府県に行政機能を移そうとした時に総理を含む大勢の閣僚達がゴジラにやられてしまう。そのため残った里見農林水産大臣が臨時首相になり、矢口・赤坂達は政府中枢でゴジラに対する対策を必死で行う。23区で暴れるゴジラは無性生殖でも増え続ける能力があるため、国連はゴジラ退治に核爆弾を使うことを決定する。矢口・赤坂達は最後の手段で血液凝固剤を必要量出来るまで利害関係の少ないフランス政府に頼んで核を使うのを延期してもらい、ゴジラに凝固剤を飲ませる。その甲斐があってゴジラは固まった。
 ゴジラでなくても日本の危機にどう対応するかも勉強させてもらった。