殿利息でござる

 今から250年前私財をなげうって宿場を救った町民の話である。仙台藩の宿場町吉岡宿は藩の伝馬役など重税がかかり、夜逃げなどで町が疲弊していた。宿場町の行く末を心配した造り酒屋の主人穀田屋重三郎(阿部サダヲ)は町一番の切れ者茶師菅原屋篤平治(瑛太)の考えによる殿に資金を貸しその利息で町を助けようという意見に完全に吸い込まれてしまった。 
 いろいろな裕福町民が紆余曲折を持ちながらも自分が出せる金額を出す。実は庄屋に当たる肝煎遠藤磯衛門(寺脇康文)さらに大肝煎千坂仲内(千葉雄大)なども町の窮状を憂えていた。そのため彼らもその意見に賛成だった。しかしながら現在のお金に換算して3億円を必要としたが、なかなか目標に達しない。重三郎の実家で弟が実権を握っていてケチな浅野屋陣内(妻夫木聡)が驚いたことに相当のお金を用立てる。この町民たちの熱意にほだされて、藩の代官橋本権右衛門(堀部圭亮)などが町民の味方になろうとしたが、藩の重鎮萱場杢(松田龍平)には当初取りつく島がなかった。萱場は最後の注文で金(きん)による一金1000両を要求したが金(きん)の高騰より貯めた額よりさらに上積みしなければならなくなり、結局は陣内が私財をなげうって残りの金の大半を出すことになった。実は浅野屋の先代陣内(山崎努)はケチという噂を立てられながらも、宿場町のためなら全財産をなげうつことが信念であり銭を貯め続けたのであった。萱場杢が最後までねばって町民から借金をしないようにしたが、藩主(羽生結弦)が先代陣内の話に感動して町民から金を借り結局は藩の感謝を得ることになった。