ドラゴン・ブレイド

 紀元前50年ごろ、前漢時代のシルクロード国境付近は36部族入り乱れての混乱しており、国境警備隊の隊長フォ・アン(ジャッキー・チェン)は治安維持を任されていた。フン族と他部族の争いに割って入ったフォは隊長の娘ムーン(リン・ポン)に決闘を挑まれ、彼女を打ち負かす。実はそれはムーンにふさわしい男を探す儀式であった。ムーンに迫られた既婚者のフォはその場から逃げだす。警備隊本部にもどったフォは妻ショーチン(ミカ・ウォン)と久しぶりにくつろぐ。それもつかの間、副官イン(チェ・シウォン)の話によれば、フォと遠征に行った部下8人が金貨密輸の疑いをかけられ、地方長官の命で異民族との戦闘最前線の雁門関に砦修復囚人として送られる。あきらかに何者かの陰謀であった。地方長官は15日以内に砦の修理ができないときには囚人たちを殺せと命令していた。数日後砂漠の彼方から雁門関に屈強な軍隊があらわれ、交渉役を買って出たフォはその軍隊がローマ軍だと分かる。権力争いで執政官クラッススの長男ティベリウス(エイドリアン・ブロディ)が父を殺し、幼い弟プブリウス(ジョゼフ・リュ・ウェイト)の命を狙っていたため、将軍ルシウス(ジョン・キューザック)がプブリウスを連れて東に逃れてきたのである。ルシウスは彼の部下が長旅で疲れていたため、1対1の決闘をフォに申込み剣を交える。ちょうどそのとき砂嵐がやってきて、ルシウスに悪意がないことを悟ったフォはローマ帝国軍を砦のなかに招き入れ、嵐をやりすごした後飲み物と食べ物を与えた。ルシウスは感謝し、ローマの先進的建築技術で砦の修理を手伝う。期限内に修復が間に合い、ルシウスとフォには友情が芽生える。

 一方プブリウスを狙って、ティベリウスは大軍を率いて雁門関にやってきた。狙いはプブリウスだけでなく、シルクロードと前漢であった。事態の深刻さに気付いたフォは雁門関にもどり副官インの助力も求めようとしたが、インは既に買収されていて、フォが砦送りになったのもインの裏切りのせいであった。インの軍勢に取り囲まれたフォはムーン率いるフン族に助けられたが、ショーチンは命を落とす。失意のフォが砦にかえるとティベリウスによって、ルシウスは目をえぐり取られ瀕死の状態だった。プブリウスはすでに亡くなっていた。フォ・アンは他部族たちを必死に説得し自分たちの領土を自分たちで守ろうと檄を飛ばす。フォは部下たちと一緒に投降とみせかけて、ティベリウスの陣地に入り込みルシウスの部下たちを解放し反撃の狼煙をあげる。やがて36部族の騎馬軍団もティベリウスに猛然と反撃する。

 シルクロードには多民族が栄枯盛衰をくりかえし、この映画のようなことがあっただろうと思わせる。