Bridge of Spies

 第2次世界大戦後、間もなくのころソ連の一人のスパイ・ルドルフ・アベル(マーク・ライランス)が逮捕される。国選弁護人として白羽の矢が立てられたのはニュルンベルグ裁判で検察官だったジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス)であった。ドノヴァンは最初、敵国のスパイを弁護するのは国民から相当叩かれると思ったので、断ろうと思っていたが結局妻メアリーの心配を押し切りアベルの弁護をする決心をした。アベルの祖国への忠誠は強固なもので裁判をするなかで二人には深い理解と尊敬が芽生えていった。アベルの思いは自分達が祖国へ寄せるものと変わりがないと考えたドノヴァンは国民の反対を押し切って、死刑を避けなければと考えた。そうすればもし敵国に我が国民が捕虜になった時にも交換できると熱弁し懲役30年を勝ち取った。
 5年後ドノヴァンが想像した通り捕虜交換の事態が出現する。米軍の偵察機U2がソ連の上空で狙撃されフランシス・ゲイリー・パワーズ(オースティン・ストウェル)が捕虜になる。CIAの諜報員ホフマン(スコット・シェパード)は国家機密が漏れることを恐れ、アベルとの捕虜交換をドンヴァンに頼む。交渉場所は東ベルリンであり、アメリカとは国交がないのでそれこそ頼みは自分だけである。東ベルリンにつくや西ドイツの学生フレデリック・フライヤー(ウィル・ロジャーズ)がスパイ容疑で東ドイツに逮捕されたことを知り、ホフマンがアベルとの交換はパワーズだけでいいと主張しているにも拘らず、ドノヴァンはパワーズに加えてフライヤーもアベルとの交換条件にすると言い張る。ここに東ドイツとソ連との思惑のずれがあり、ソ連はパワーズとの交換、同時に東ドイツはフライアヤーとの交換をするという形でアベルとの捕虜交換が成功する。ドノヴァンの執念が実る。
 後にドノヴァンはケネディーの意を受ける形でキューバの捕虜解放の役にも立つ。
 個人の信頼関係は政治とは切り離されて成立することが示されている。