ゴーン・ガール

 ニューヨークで作家をしているニック(ベン・アフレック)はより有名な作家のエイミー(ロザムント・パイク)に一目惚れし、ウィットに富んだところを見せてエイミーの心を奪い、結婚する。結婚後ニックの仕事はなくなり、エイミーの稼ぎで食べていくしかなくなる。ある日ニックの母親が危篤になりニックのいなかにニックとエイミーは移り住む。その後、結婚誕生日の日にエイミーは失踪し、自宅には血の痕がありエイミーは殺害されたのではないかという疑いが生じる。警察官のロンダ刑事は最初ニックが誰かにはめられたのではないかという気がしていたが、エイミーのニックへの誕生日祝いのための謎かけがエイミーのお金を無駄につかった品物がかくされてあったり、エイミーを殺したと思われる血痕つきの凶器が見つかったりしてニックは逮捕されてしまう。こうしてニックはマスコミの恰好のネタになる。敏腕の弁護士ターナー(タイラー・ベリー)に相談したところニックの弁護にまわってくれた。しかしニックは浮気をしていたり、エイミーを叩いたりしたことがあった。エイミーの付き合っていた友人も知らなかったし、エイミーが妊娠していたこと(実はエイミーの芝居)も知らなかったことで、ニックはエイミー探しに協力的な人々やマスコミを敵にまわす。ニックの妹も共犯者にされにっちもさっちもいかなくなる。

 実はエイミーが自分の望まない転居、さらにはニックが浮気までしていたことに怒り心頭であった。実はエイミーはサイコであり、ニックの行動に対する異常な怒り故ニックを殺人犯にしたて復讐しようとしていたのである。エイミーは人が自分の思いを裏切った場合その人の人生を台無しにするくらいの報復をする人物だったのである。しかし行方不明を装っている途中強盗にあい、過去自分に傷つけられたにも拘わらず愛し続けてくれているデジー(ニール・パトリック・ハリス)に匿ってもらうしかなくなる。しかしこの人物も実はエイミーと同じく人格障害であり、エイミーを自分の思い通りにしようとしていた。デジーに匿ってもらている間、テレビでニックが心からエイミーに謝罪しているのをみてエイミーは閉ざされたデジーとの生活よりも元の生活の方を選び、いとも平然とデジーを殺しニックのもとに帰る。そしてさも監禁されていたかのようにマスコミに説明するのである。こうしてエイミーの残虐さがしられることなく一層マスコミに同情を集め人気者になる。しかし本当のエイミーを知っているニックは恐ろしくて別れようとするが、段々別れなくなっていくのである。

 表と裏の顔が完全に違っている自己愛型人物でサイコ(冷血で他人の痛みを感じない)のエイミーと一人の人物に裏切られても愛し続け、自分の世界にこだわり続ける強迫型人物のデジーによりこの作品が特徴づけられているところが見どころだろう。