喰女

 俳優長谷川浩介(市川海老蔵)は女優後藤美由紀(柴咲コウ)と四谷怪談の舞台練習をしている。浩介は民谷伊右衛門役で美由紀はお岩役であった。私生活でも二人は恋人であり、美由紀は浩介に相当なはたまた不思議な愛情・感情をもっている。四谷怪談では伊右衛門は岩の父又左衛門(勝野洋)を殺してまで岩と結ばれたのにその後は仕官も出来ず日々無意味に暮らしていた。そんな時朝比奈莉緒(中西美帆)紛する伊藤梅が伊右衛門を好いて父喜兵衛(古谷一行)と乳母槇(根岸希衣)に頼んで無理矢理岩を伊右衛門から引き裂き自分の夫になるよう画策してもらう。現実場面でも浩介と莉緒は仲良くなり莉緒は美由紀から浩介を奪おうとする。芝居と現実の区別が付きにくくなる中、ある日浩介は莉緒と遊んだあと美由紀のところに寄ると美由紀が自分のおなかの中に子供がいると幻覚し、自分の体を切り刻んで子供を取り出そうとしたが当然無理なわけでベッドで血だらけに横たわっているのをみる。浩介にすがりつきつつ助けを求める美由紀の首を浩介は切り落とす。何食わぬ顔で、自動車で舞台に戻る途中一瞬浩介に事故が起こったようだったが、舞台に戻った浩介は伊右衛門としてお岩の亡霊に取りつかれ、美由紀は当然欠席のため代役に立った倉田加代子(マイコ)がお岩役をして舞台の中でも伊右衛門はお岩に殺されるが、舞台練習という現実においても美由紀の亡霊に浩介は取りつかれ最後に美由紀に首をもぎ取られる。その時場面があの一瞬車の事故にあった場面に戻りそこでは浩介の車に工事現場の鉄板が落ちてきて浩介は鉄板に首をもぎ取られていた。今度は実はこちらの方が現実なのだが浩介のいない形で、美由紀は舞台練習の準備をしていたが美由紀の化粧台の下では浩介の首を美由紀が足で転がしていた。

 現実の怪談と舞台の怪談が同時に進行していて結局現実でも美由紀が浩介を喰いつくしたというストーリーであった。映画の中での現実の恐怖が映画内舞台(四谷怪談)で増幅されるという面白い試みであった。