ネブラスカ

 大酒のみの父親のウディ(ブルース・ダーン)は最近ネブラスカのリンカーンに行くと言って、ふらふらの体で出歩き警察に保護されるようになった。オーディオ店を経営する息子ディヴィッド(ウィル・フォーテ)は父親と疎遠であったが警察に迎えに行かざるをえない。インチキと誰にもわかるはずなのに100万ドルの懸賞金にあたったからネブラスカまで取りに行くといって父は少しボケているのか信じ込んでいる。家に連れて帰ると母親ケイト(ジューン・スキップ)はこれじゃ老人ホームに入れるしかないと言い張る。駆けつけた兄ロス(ボブ・オデンカーク)に相談しても老人ホームに入れるしかないという。兄は最近テレビの仕事に代役で出始めたところであり、人生少し乗ってきている感じであった。
 母や兄は反対したが、デイヴィッドは何故か父を今住んでるモンタナからネブラスカまで車にのせて連れて行こうと決心する。父は当たった賞金トラックと塗料を塗る機械を買うと言い張る。途中立ち寄った給油所のバーでは止められているビールを飲むがビールは酒じゃないと言い張る。途中サウスダコダのラシュモア山に刻まれた大統領の胸像を未完成と言って見物に来たのではないと言い張る。父の故郷ネブラスカ州には父の兄レイの家族が住んでいてそこに立ち寄る。みんなは不況のあおりを受け金に困っていて一日中テレビをみているだけだった。ちょうど親族パーティが開かれるので母ケイトと兄ロスも顔を出すことにした。なつかしい街をぶらつく中、父の元共同経営者エド(ステイシー・キーチ)に出会って父ウディは100万ドルの懸賞金にあったと言って驚かせる。次の日町中の人にうわさが広がり、街の新聞社を経営している父の元恋人ペグ(アンジェラ・マキューアン)にインタヴューを申し込まれたので、デイヴィッドはペグのところに行って、父は錯覚していることを伝える。ここで父は朝鮮戦争でつらい体験をしたこと酒にその後溺れるようになったこと、結構勘違いが多かったこと、人に頼まれたら断れなかったことなどを知る。次の日親せきのパーティーでも賞金が当たった話でもちきりで、結局みんなはその金をあてにし始める。その夜のパブでエドにもお金をせびられもめる。パブからの帰りにはあきらかにいとこたちに偽の懸賞金証書を狙われる。その証書をデイヴィッドは偽物と分かりながらも父の思い込みにあわせて探してやる。父がこだわっている懸賞金それをエドが持っていて、結局偽物だとわかり笑いものにする。父を馬鹿にされたデイヴィッドはエドに一発拳骨をお見舞いする。いよいよ次の日リンカーンにたどりつきやはり賞金には当たっていなかったことを父ウディはしぶしぶ納得したが、本当は子供たちにもお金を少しは残したかったことを話す。
 帰りに今乗っている車を父の望んでいたトラックに交換し、塗料を塗る機械も買う。故郷の街に戻った親子二人はさも賞金が当たったかのように、息子が助手席に隠れて父親が一人でトラックを運転しているところを故郷の人エドやペグや従弟たちに見せる。
 いくら間違っていても相手にあわせて付き合うことによって相手の気持ちを落ち着かせることが出来る。同様に、認知症の患者さんをもった家族の患者さんへの対応の仕方について非常に参考になり納得できる映画でもあった。