「プロデューサーズ」

 最近自分の作ったミュージカルが転けてばかりのブロードウェイのプロデューサー・マックス・ビアリストック(ネイサン・レイン)のところに、乳離れが出来ず緊張場面では毛布の切れ端の必要な・しがない会計士レオ・ブルーム(マシュー・ブロデリック)がやってきて経営状況を調べたら、マックスの台所事情が火の車なので冗談で、出資者から金を集めて全く金の懸けない一晩で大転けする史上最低のミュージカルを作れば、お金を返さなくて済みかなり儲かると話した所、マックスは大乗り気になってレオにこの話に乗ってもらってプロデューサーになるように勧める。レオは公認会計士のもとでこき使われるのに疲れていて相当迷った挙げ句、プロデューサーになることを決心する。
 お金はマックスがたらし込んでいる老婦人から集められるし、後は最低の脚本、最低の演出家、最低の出演者を集めればよかった。脚本はナチスの信望者フランツ・リープキン(ウィル・フェレル)の「春の日のヒトラー」に決まり、フランツに契約してもらうためヒトラーに忠誠を誓い、ヒトラーお気に入りの歌を合唱するという屈辱を味わった。次ぎは最低と見込んだ演出家ロジャー・デ・ブリー(ゲイリー・ビーチ)を口説き落とすことだった。アシスタントのカルメン(ロジャー・バート)も含めて、ロジャーの家はゲイばかりがいた。最初は春の日のヒトラーは真面目すぎるといって断られたが、トニー賞が取れるといって口説く。ハードゲイのドイツ兵のダンスなどのアイデアも飛び出し間違いなくこのミュージカルは転けるとマックスはほくそ笑む。
 マックスとレオが事務所に戻ったところ、事務所にスウェーデン娘のウーラ(ユア・サーマン)が自分を売り込みにきていて、あまりのセクシーさに出演をさせると約束し、秘書・受付係として雇う。ヒトーラー役のオーディションではヒトラー役がみつからず、たまらずステージに出て模範を示した脚本家フランツがヒトラー役になることに決まった。
 ついに迎えた春の日のヒトラーの初日、マックスがレオに業界の常識の挨拶「脚を折れ」を説明しているときに本当にフランツが脚を折ってしまう。このままでは200万ドルネコババ計画はパーになると思ったマックスはロジャーに代役を懇願する。
 最初はマックスとレオが予想した通りヒトラー礼賛のミュージカルと思って席を立つ観客が続出したが、ゲイのロジャーがヒトラー役をやり始めた途端、ヒトラーをギャグにしたコメディーと勝手に観客が解釈し大ヒットとなる。ショウが大ヒットしたため、2重帳簿がばれることを恐れ警察に自首しようとするレオ、それを止めようとするマックス、さらにヒトラーを虚仮にされたと怒ってフランツが鉄砲を持ってマックスの事務所に乱入し、フランツと2重帳簿を見られたマックスは警官に逮捕される。逮捕を免れたレオはウーラに唆されて二人で南の楽園に逃亡する。
 騙されたと思ったマックスは絶望して裁判にかけられるが、レオはマックスを裏切ってはいないことを示しに裁判に出頭し証言して、二人で仲良くシンシン刑務所に入る。シンシン刑務所でも二人はミュージカルを作り、以後数多くのヒットをとばすのである。
 このミュージカル映画では人物をあまりにもどぎつく描いており、結構テーマがはっきりしていた。人生は予定通りに行かないこと、成功も偶然やってくること、異常な世界の重なりに何かを生み出す可能性があること、友情の大事なことなどのテーマを感じた。