「亡国のイージス」

 海上自衛隊のイージス艦(護衛艦)いそかぜは由良港に停泊していた。いそかぜの仙石先任伍長(真田広之)は部下達の内、仲間にうち解けない如月(勝地涼)が気になっていた。今回いそかぜには不審な荷物と共に海上訓練指導隊の溝口実は某国元工作員ヨンファ(中井貴一)達が乗り込んできた。同日午後出航したいそかぜでは訓練魚雷の落下など不審な事故が続いていた。その事故で死亡した仲間の死体を放置したままにする艦の行動に疑問を持った仙石は宮津副長(寺尾聡)から工作員如月がこの船を爆破させようとしていると聞かされる。機械室に閉じこもった如月は全員離艦しないといそかぜを沈めると脅迫していたのである。如月と絵心を通じて心を通い合わせていた仙石は機械室に単独乗り込み如月が仙石を殺すのを一瞬ためらった瞬間に如月をおさえた仙石は如月を宮津達に渡した。しかし機械室で仙石は如月から自分は防衛庁情報局内事本部長渥美(佐藤浩一)の部下であり、宮津副長とその手下達さらに訓練指導隊の溝口実はヨンファ達は艦長を殺し、アメリカから奪った特殊兵器GUSOHを使って東京を破壊すると言って日本に脅しを掛けようとしていると聞かされた。そのため防衛庁情報局からの命令で艦を爆破させようとしているとも聞かされた。如月の話は信じられなかった仙石だが宮津達が艦員全員を下ろさせたため如月の話を信じるようになり、一人で捕らえられた如月を救うために艦に戻る。宮津は自分の息子が論文「亡国の盾」で防衛庁に危険視され活躍の場を失い自殺し、さらに国防勉強会を開いていた宮津学校の部下達が左遷され、同じく某国本国から危険視され、GUSOHを手にしたヨンファと手を結び日本政府に脅しを掛けようとしたのである。いそかぜはうらかぜをハプーンで攻撃し政府と特別交渉に入った。仙石は戻ったいそかぜの中でその話を聞き艦をよく知っていたため一人でいそかぜの宮津・ヨンファら現乗員を振り回し如月と合流する。2人は外部と連絡をするために発光信号を送り、自衛隊側工作員が潜水艦せとしおからいそかぜに侵入しようとしたがヨンファに見破られ失敗する。今や政府はテルミットプラスを使ってGUSOHを破壊する決断をしつつあった。仙石・如月二人はミサイル発射装置も破壊しようとして仙石・如月とヨンファら工作員との血で血を洗う争いが繰りひろげられた。テルミットの発射を決断した政府。ヨンファとGUSOHを奪い合う仙石。最後に仙石はGUSOHを確保し、テルミット発射が中止された。
 人には欲があり、喧嘩もする。すなわち国家同士も領土の奪い合いに加えて戦争も行ってきた。この人間の特徴を知っていれば武力を持ちながら平和を目指すのは当然であり世界のほとんどの国がそうしている。しかし日本だけ戦争放棄の憲法を持っていて、武力行使に手枷足枷をはめているが現実はアメリカの武力に依存している。本当に平和は難しい。