「フォーガットン」

 テリー(ジュリアン・ムーア)は1年程前9歳の息子サムを飛行機事故でなくして以来、来る日も来る日も息子サリーの思い出に浸って悲しみが癒えずにいた。精神科医マンス(ゲイリー・シニーズ)のカウンセリングにも悲しみは癒えることはなかった。ある日マンス医師の元に向かおうとしていたが路上駐車していた自分の車が見あたらず、別の場所にあった。何か記憶違いがあったのかテリーは違和感を持った。マンス医師の所でも飲んでいたコーヒーが突然消えて、マンス医師に尋ねたが「コーヒーの香りが君の記憶に影響を与えたのだ。」と言われたがやはり釈然としないままだった。
 その晩、テリーが童話の編集の仕事に復帰したことを祝って、夫ジム(アンソニー・エドワーズ)がシャンペンを買ってきて2人で祝おうとしていた時に家族3人で写っていた写真から息子サムが消えていたのを知ってジムの仕業と思って怒りで家を飛び出した。公園でやはり娘を同じ飛行機で失っていた元プロ・ホッケーの選手アッシュ(ドミニク・ウエスト)と出会うが娘のことは覚えていないようだった。翌日家に帰りサムのアルバムやビデオテープを探したがサムの姿は跡形もなくなっていた。ジムの仕事先にTELをして怒りでジムに家を出ていってというが、あわてて帰ってきたジムに「君は病気が治ってきたのだ。いままで見えていた幻覚が消えたのだと言われ、さらにジムの連絡で駆けつけたマンス医師にも同じことを言われますます混乱してきた。マンス医師に入院を勧められたが、家を飛び出し図書館で新聞を調べたが飛行機事故の記事は全くなかった。隣人に聞いても誰もテリーに子供がいたなどとは答えなかった。すがる思いでアッシュの家に押し掛け、酒によったアッシュが寝た後、テリーはアッシュの家の壁紙を見ていたときアッシュの娘ローレンが書いた落書きを思いだし壁紙をはぎ取るとローレンの書いた絵が出てきたのだ。テリーは人間わざではないのを感じて、翌朝アッシュに娘を思い出させようとしたが、突然安全保障局の人間がやってきてテリーを連れていく。アッシュは壁紙の絵を見た後、娘ローレンを思いだしテリーを追いかけ必死でテリーを逃しアッシュもうまく追ってを振り切ったが、2人は安全保障局と警察の両組織から追われる身になった。マンス医師にTELしもう一人娘を失った父親もいるので説明してほしいといったが「君はパニック障害だ。」と言われたためマンス医師も信用できなくなり、アッシュを励まし2人で事件を解明しようとする。ニューヨーク警察のポープ刑事もありふれた事件に安全保障局がでてくることに疑問を感じ、独自に捜査し始めた。飛行機会社を調べるうちある謎の男(ライナス・ローチ)がテリーの拉致に関わり、子供達が飛行機にのるのにも関わっていたことを思いだし、その飛行機会社の社長宅が無人になっていることも分かった。テリーを追ってきたポープ刑事はアッシュがその謎の男を拳銃で撃っても死なず逆に大空に吸収されるのを見て、テリーの言ったことを信じ始めた途端に大空に吸収されてしまった。謎の男は宇宙人であったのである。テリーは逃げて飛行場に行きそこでなぞの男に出会う。謎の男は「何故そんなに子供が忘れられないのか?忘れろ。」とテリーを強迫するが、テリーは子供のことは絶対忘れられないし忘れないと答える。このとき周りの人はみんな忘れてしまったのに何故自分だけが憶えているのか悟る。つまり自分が宇宙人の実験台だったのである。宇宙人は地球人の女性は自分の子供を忘れることができるかどうかの実験をしていたのである。結局最後まで子供サムを忘れなかったテリーに対し、忘れさせることの出来なかった宇宙人は敗北して消えてしまう。
 テリーは最後まで自分を信じることの出来た非常に強い女性だが、人間や母は映画で描かれたようにそんなに強いかはわからないが母子の愛情は相当強いと人は思いたいのだろう。