「LOVERS」

 中国唐の時代、政治が腐敗して反政府組織が乱立していた。その最大勢力飛刀門は貧者救済で支持を集め政府・県の捕吏と死闘を続けていた。武術に優れた2人の官吏金随風(金城武)とリーダーの劉(アンディ・ラウ)は遊郭・牡丹坊に盲目の踊り子がおり、その踊りが達人の技であると聞き飛刀門の一味ではないかと探りを入れる。金が牡丹坊に乗り込みその盲目の踊り子小妹(チャン・ツィイー)に無理難題を仕向け大暴れする。そこに劉らが政府役人として乗り込み小妹を逮捕しようとしたが、牡丹坊の女将(ソン・タンタン)の取りなしで小妹が最高の踊りを見せれば許すことにした。しかし驚いたことに小妹が最高の踊りを舞った後、劉に斬りかかったのである。そして劉と小妹が死闘を繰り広げたあと小妹が破れて逮捕される。その夜小妹が拷問され獄につながれた晩、金と劉は小妹が盲目で武術も優れていたためおそらく飛刀門の前首領の娘だろうと判断し、金が小妹を助ければ飛刀門の所に潜り込むことが出来、それで大手柄をたてようと謀り、金が小妹を連れて逃げる。追ってが次から次ぎに来るが金に取って仲間なので殺すまねをして小妹を信用させ飛刀門のところに近づこうとするが、追っ手が今度は本気で2人を殺そうとしてきた。小妹に隠れて劉とあった金は劉から追っ手は政府から直接送り込まれてきたので我々の謀りごとは伝えられていないと聞き、政府役人と闘わざるを得なくなった。闘いを通して金は小妹がとても可愛くなり、自分の名前通り風に従って本気で小妹を助けようとする。こうして2人は政府側の捕吏と闘い、政府捕吏に倒されそうになったときに誰かが2人を助けようとしているのを知る。最後に大勢の政府捕吏に捕まりそうになり、絶対絶命になったとき飛刀門一味が現れて2人は助けられる。ところが金だけが捕らえられ、小妹が飛刀門の命をうけて牡丹坊に潜り込んでいた女刺客であり、前首領の娘ではなく目も見えていたことが分かる。さらに飛刀門の首領が牡丹坊の女将であり、金と謀りごとをした政府の役人劉も飛刀門の一味であることがわかる。金は小妹が好きになり小妹のためにここまで来たが騙そうと思って逆に完全に騙されていたことを知って絶望するが、小妹への愛は本物だったため、小妹にあの愛は偽物だったのか問いただす。実は劉は政府役人に潜り込むため愛していた小妹と3年間も連絡取らずにいたのだがやっと2人で会えたのである。しかし小妹は金を愛してしまっていたのである。小妹は首領から金を殺せと言われていたいたにも拘わらず逃がしてしまう。この光景をみていた劉は小妹に抜けば死ぬ小刀を突き刺したのである。そして小妹を愛した2人の男金と劉は死闘を繰り広げ、死闘のさなか金をかばって小妹は抜けば死ぬ小刀を自分の体から抜きその小刀を劉に突き刺し自分も死んでしまう。
 やはりチャン・イーモウ監督の造った実に美しい映像は映画英雄と匹敵する。さらに組織の一員として生きることと個人の愛を貫くことの葛藤、騙し騙されながらも愛のみが普遍的であることなど見所はしっかり用意してある映画である。