「いま、会いに行きます。」

 母秋穂澪(竹内結子)が亡くなって1年たち、息子の佑司(武井証)は父巧(中村師童)に「人が死んだらみなどこに行くの?」と尋ねる。巧はママが書いた絵本の中にはアーカイブ星にいると書いてあったじゃないかと答える。さらにその絵本の中には雨の季節にママは帰ってくると書いてあったのである。佑司は勿論巧までもその話を信じたかった。
 巧は司法書士事務所に勤めているが、妻が亡くなってからは当然元気がないままである。巧もこころの中では澪を待っており雨が降る季節を期待している。学生時代にパニック障害?と思われる病気がおこるようになった巧は診療所の野口医師に「やはり澪さんに戻ってきてほしい?」と聞かれ巧は「僕は澪を幸せにしてやれなかった。戻ってきてくれたら一緒に生きてよかったという思いをもう一度させてやりたい。」と答える。妻がいない上に自分も人込みや乗り物の中で倒れてしまう病気を抱えて、巧は日常生活もしっかり出来ない状態で息子佑司にも心配をかけていた。
 雨がふったある日息子と2人で澪との大切な思い出のある場所に行った。そこで澪と出会うのである。澪は何も覚えておらず、自分はどうしてこの家族の一員になったのかを知りたくなった。澪は何も覚えていないがもう一度始めから3人で生活をしていけばいいのだと巧は考えた。巧も佑司もすごく元気になり澪が来てからは家も勿論見違えるようになった。澪は巧とどのようないきさつで結婚したのかを尋ね巧は答えるのであった。高校2年生の時2人は始めて出会って同じクラスで席もとなり同志であった。始めは巧の片思いだと思っていたこと、巧は陸上の選手で活躍していたこと、卒業式の日にサイン帳をもって僕の所に澪がきてくれたこと、その時巧のペンを澪のサイン帳にはさんだままわたしたこと、澪は東京の大学・巧は地元の大学にすすんだこと、しばらくしてペンを返すということで2人は出会い愛し合うようになったこと、しかし大学2年の時巧はパニック障害?を引き起こし交際をやめようとしたことなどを話した。しかし巧は澪を忘れられず、澪に会いに行ったとき澪が他の男子学生と仲良く話しているのみて澪と会わずに帰るのである。その姿をみた澪は巧が私に会いに来てくれたと感じ後を追うのだがこの時事故にあう。
 20歳の時の事故による意識消失のなかで澪は未来にジャンプして自分が亡くなった後の夫と息子の2人だけの家庭に記憶を失ったまま戻り3人で生活する夢のような体験をするのである。やがて雨があがる季節に自分が戻ることを知った澪は子供の佑司のために成人するまでの誕生日のケーキをケーキ屋に注文し、自分の現れた場所から2人に別れを告げて去っていく。
 この映画がこころに残るのはもう死んでしまって会えなくなった人に会えるという奇跡があること、死んだ人のこころと今もつながっていること、お互い相手を思いやっていること、結局は死んでしまったものは戻ったままにはならない哀しさ、哀しいこころと雨という自然が調和していることなどであろう。